【過去ネタ】ラジコンと俺様

※過去ネタです

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私は趣味が多い。


かなり多いほうだと思う。


それがある一定の周期で繰り返される。


 


実は今、ラジコンが欲しい。


 


若かりし頃から同じように一定の周期で


ラジコンの波は押し寄せていていたのだ。


 


その波は確か8年前。


 


まずはエンジンの車を買った。


 


とりあえず車なら何でも良かった。


バッテリーがなくなるととまってしまう電動よりも


燃料を入れればいくらでも走るエンジンのほうが良かった。


とりあえずなけなしの小遣いを投入し、


キットとプロポのセットを購入した。


 


昔から物を作るのは好きだ。


こまごました部品を見るとゾクゾクするほどたまらん。


 


きれいに組み立て、


ボディーもプラモ屋のおっさんに借りたエアブラシで


ビカビカに塗装した。


見た目は非の付け所のない出来である。


 


燃料を入れてスターターを引く。


ブルン


ブルン


ブルン


ブルン


・・・・。


なんやこれ。


エンジンかからんやんけ。


ブルン


ブルン


ブルン


・・・・。


説明書を読むとニードル調整がなんやかんやと書いてある。


調整してみたが


まったくエンジンはかからん。


すでに半ギレだ。


 


どうしたものかとプラモ屋のおっさんに聞いたら


「スターターがあるよ」


と。


どうやら自動でエンジンをかける優れものがあるというではないか。


だまされたような気がせんでもないが


仕方なくつぶれかけのプラモ屋へ走る。


 


電動スターター。


 


高い。


 


オッサンはラジコンキットを通販で買った俺様が気に入らないのか


まったく値引きしてくれなかった。


それでもこれを購入すれば


帰ったらすぐにあのピカピカのマシンを


走らせることが出来るのだ。


 


意気揚々と引き上げた私はさっそく電動スターターを箱から取り出した。


 


ほほう。


む?この赤と黒の線はなんなのだ。


説明書を見てみると


「バッテリーは別売りです」


などと書いてやがる。


ろくでもない。


 


あのピカピカのマシンを走らせるために


私はまたもやガソリンをたいて


オートバックスへ向かいバッテリーを購入。


 


もう足りないものはないであろう。


ないはずだ。


 


いよいよである。


スターターの台にピカピカのマシンを載せて


スイッチを入れる。


 


ブーーーーーーーーーーン


ババババババ


バンバンバンバン


 


おお!エンジンがかかったではないか。


 


プロポをクイクイしてみる。


ハンドルオッケー


アクセルオッケー


発進である。


 


ブーーーーーーン


ブブブブブ


 


めっちゃ早い。


 


おもしれえええええええ!


 


一通り遊んだあと


ピカピカのマシンは


排気ガスと噴出したオイルで


べとべとのぬるぬるになっていた。


 


 


すぐに愛情は冷めた。


 


 


 


エンジンカーはきちゃないから


やっぱり電動にしよう。


そう思い、またしてもあのプラモ屋に行ってみる。


店内にはところせましと


ほこりをかぶったラジコンキットの箱が並んでいる。


オッサンに一通りの説明を聞き、


電動は汚れないと確信した。


プラモ屋のオッサンは


私にしきりと新製品の箱を持ち出してきてすすめる。


 


わかった。ありがとう。


 


そう答えて家に帰り、


 


 


 


通販でキットを注文した。


 


 


店を出るときのオッサンの顔は寂しげだった。


 


さて、キットも届き、


サーボとか取り外されて


車庫の隅に蹴りこまれたエンジンラジコンキットを横目に


電動マシン発進である。


 


キュイイイイイイイイイン


と気持ちよい音を響かせながらマシンは走る。


エンジンより早いがね。


こりゃええわ。


私はこれでしばらくのめりこむことになる。


だんだんと上達し、


レースにも出てみたいなとか思い出した頃に


プラモ屋にバッテリーを買いに行くと


おっさんは毎月1週目と3週目の日曜日にレースやってるよと


そう言うではないか。


 


では次回のレースに参加させていただきたい


 


と申し上げ、ドキドキしながらその日を待ったのだ。


 


 


当日、前日からいろいろと準備し、


キャンプ用のテーブルまで持参しての参加である。


色々作業もあるであろうから呼んでいた連れの


若い子(現在怖い事務所の準構成員)2人も


「アニキーたのしみですねぇー」


とか言っている。


 


ペタペタの窓真っ黒のセルシオに


愛すべきラジコンと時限爆弾のような若者2人を乗せて


教えてもらったとおりにすすむと


そこにはよくラジコン雑誌でみるような


すばらしいコースと操作台が作られている。


 


こんなところへ私のような素人が参加して良いのだろうか。


ただただ申し訳ない気持ちで朝のルールミーティングとやらに出席である。


あーしてはいけない


こーしてはいけない


とかいう説明があり、


いよいよ参加するレースにエントリーである。


たしか私の参加するレースは3番目だったと記憶する。


 


「参加者は車をならべてくださーい」


 


とアナウンスだ。


いよいよレースへのデビューである。


一緒に来ていた若い子(現在怖い事務所の準構成員)2人が


「アニキ準備できました」


とニコニコこっちを見ている。


操作台へ上がったが


2mの足場が組んであり、かなり高い。


上からコース全体を見下ろす形だ。


すばらしい。


 


スタートランプの赤が点いた。


青が点灯してスタートだ。


 


スタート!


 


いっせいに車が走り出す。


 


一つ目のコーナーでもみくちゃである。


焦っていた私の車は誰かの車に乗り上げ、


 


 


犬の交尾状態になった。


 


 


だれのかは知らんが、メス役になった車は


俺様のマシンを乗せて走る。


 


次の瞬間、横から


 


 


「誰のやねん!ボケかコラー!」


 


 


と叫ぶメス役の操縦者。


次の瞬間いろいろあって2m下に落ちた髪の毛黄色のお兄ちゃんは


ちょっと遠くに連れて行かれて


若い子(現在たこ焼き屋)2人とお話していた。


何があったのかは知らない。



 


こうして電動カーへの愛情は


 


 


冷めた。


 


もともと団体行動は苦手なのだ。


車はもういい。


次はどうするかと考えながらラジコンマガジンを読んでいたところ


 


 


ラジコンボート


 


 


が目に付いた。


 


 


ラジコンボート


 


 


なんと良い響きなのだ。


水面を切って走るボート。


波しぶきをあげるボート。


釣りキチ三平に出来てきたボート。


 


これを買わずして何を買うのだ。


 


私は早速ラジコンボートを


 


 


 


通販で注文した。


 


 


 


届いたものを一晩かけて作り上げた俺様は


ボートを眺めた。


おおかっこいい。


名前をつけてやろう


パニック号。


すべての作動状況を確認し、


翌日朝から近所の池に出かけたのだ。


 


エンジンはヌルヌルになるので嫌いだが


電動ボートの写真を見るとどうも頼りないのだ。


 


燃料を入れてエンジンをかけ、


アイドリングさせる。


しばらく様子を見ていたらパニック号のエンジンから煙が出始めた。


忘れていた。


こいつは水冷式なのだ。


このままでは浮かべる前に壊れてしまうではないか。


 


大急ぎでパニック号を池に浮かべてスロットル全開である。


 


ブビーーーーーーーーーーーーーーーン


 


うおおおお


 


カッコイイ!


カッコイイぞ!


 


 


ブビーーーーーーーーーー   ビッ ビッ


 


 


異音の数秒後


 


 


 


パニック号は池の真ん中で止まった。


 


 


プロポのレバーを動かしても


まったく反応しない。


エンジンが止まったのだから当然である。


 

もはやなすすべ無しだ。

 


ガックリと肩を落とし

 


池の真ん中に浮かぶパニック号を眺めるだけである。


風のないベタ凪の水面に浮かぶパニック号。


 


ほんのり涙も出てきた。


 


小一時間待ったがパニック号は帰ってこない。


 


水鳥ですら警戒して近寄らない。


 


このまま待っていてもあと何時間かかるか分からないのだ。


仕方なく一度家に帰り、


またお昼過ぎにでもお伺いすることにした。


 


お昼過ぎに伺うことにしていたのに


すっかり忘れて寝てしまっていた俺様、


2時ごろにあわてて池へと向かった。


池には多くの車がとまり、バス釣りをしにきた輩でいっぱいであった。


 


 


案の定


 


 


パニック号は見当たらなかった。


 


 


 


こうしてボートへの愛情は


 


 


 


冷めた。


 


 


 


こうなるともうなんだか意地みたいなもんである。


 


次は空じゃと。


 


空飛んだるわと。


 


 


通販でラジコン飛行機のキットを買った。


さすがにラジコン飛行機ともなると


プロポがやたら高い。


 


それに今度はレバー2本が


 


上下左右に動きやがるのだ。


 


なんと恐ろしい。


 


 


まあ思案していても始まらんのだ。


とりあえず組み立ててみた。


なにしろ空系は初めてなので


ところどころ不安要素はあったのだが


なんとか出来上がった。


 


ううむ。


 


これが飛ぶのか。


 


頭の中では空中を旋回し、


きれいな弧を描いて飛ぶマイプレインステイシー。


さすがに民家の近所で飛ばすわけにはいかないので


ちょっとはなれた田園風景のところへ移動。


 


ドキドキしながらエンジンをかける。


 


ブブブブブブブブーーーーーーーーン


 


エンジンがかかった。


プロペラが勢いよく回る。


 


指を入れたらすぐに短くなってしまうであろう勢いである。


 


ステイシーを地面において農道を滑走路に見立て、離陸準備完了。


 


うおー、すごいドキドキするぞ。


管制塔から離陸の許可を自分で独り言で言ってみる。


 


「ステイシー、離陸を許可する。離陸を許可する。」


 


「了解、ステイシー、離陸します。」


 


一人芝居は昔から好きだ。


スロットルを徐々に上げる。


ブーーーーーーーーーーーーン


 


徐々に機体が動き出した。


滑走路を走り出す。


 


ヨーシヨシヨシ


 


が、


 


 


滑走路短い!


 


 


ステイシーは


 


 


 


離陸せずに田んぼの土手に突っ込んだ。


 


 


ううむ。


何が悪かったのだ。


2分ほど考えた結果、


スロットルを思い切りあけておいて


手で投げたらどうかと。


実は説明書にそう書いてあったのだが


相変わらず説明書など見ない。


 


プロペラについた泥を生えている草を使って拭き、


プランBである。


 


手に持って思い切りスロットルをあける。


 


ブビイイイイイイイイイイイイイン


 


そして一気に空中へ向かって投げた。


 


 


ブイイイイイイイイイイイイ


 


 


おお!飛んだ!


 


ステイシーが飛んだ!


 


 


 


 


ステイシーはそのまま山林へ消えていった。


 


 


 


愛情は即日冷めた。


 


 


 


 


残っているのは


知っていながらもわざと手を出さなかったヘリコプターだけである。


 


ヘリコプター。


 


あれはきっと難しい。


あれはお値段が高い。


 


だから手を出さなかった。


 


しかし残すレールはこれしかないのだ。


 


仕方なくプラモ屋に行って


ラジコンヘリについてオッサンに色々聞いてみる。


なるほど難しそうである。


オッサンの話は参考になったので


 


 


 


通販でヘリを買った。


 


 


 


2日後ヘリが届く。


フルセットで買ったのでかなり高い。


今回は慎重に進めねばなるまい。


キットは半完成品であり、チョコチョコした部分をつくるだけだ。


 


飛行機をやっていたときの燃料とかスターターとかすべて使えるので


特に追加で買うものはない。


 


ヘリは調整が命である。


最初の調整ができていなければまっすぐ浮き上がることすら出来ぬのだ。


初めてながらもキットに


「初めてのRCヘリコプター」


というビデオがついていたのでそれを見ながら調整した。


 


初代ヘリ、激烈号。


ちなみにココには書いていないが、


飛行機は3機購入、3機とも


 


 


 


山林へ消えた。


 


 


 


さっそうとすべての機材を積み込み、


近所の自然公園にでかける。


離陸場所は平坦な場所が良い。


ここの駐車場はきれいにアスファルト舗装してあって


かつ、自殺者が多発するほど人が来ない格好の場所である。


 


 


エンジンを掛けて


まずはホバリングといって


空中で停止する状態にしなければならない。


ビデオで見たら簡単そうであった。


 


 


ゆっくりとスロットルとあける。


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン


ブレードは回るが浮き上がらん。


もう少しあける。


 


ヒュンヒュンヒュンヒュン


 


あんまりかわらん。


 


足りないのかな?と


ぐいっとスロットルをあけた。


 


とたんに激烈号、


 


ぶおおおおおおおおおおおおおおん


 


と轟音を上げて垂直に空中へ舞い上がる。


まるで打ち上げである。


 


あわてた俺様、


一気にスロットルを下げた。


 


高さ10mほどまで飛び上がった激烈号は


 


そこでエンジンを止められ


 


 


垂直に落下してきた。


 


 


 


ガション。


 


 


 


激烈号はバラバラになった。


 


 


 


壮絶な最後であった。


 


 


高い高いヘリを墜落させた俺様、


もう後がないだけに


このままでは終われないのだ。


 


もう一台。


 


もう一台買う。


 


高いけど買う。


 


 


こうして私はもう一台の少し高いヘリを


 


 


 


 


通販で買った。


 


 


 


届いたのであけてみると


2万ほど前のより高かったが


さすがに高いだけあって


なんだか激烈号よりも高級感にあふれているような気がする。


 


とりあえず組み立てて


まず調整。


激烈号での失敗を繰り返さぬために


スロットルの調整も十分にテストを繰り返し行った。


 


準備の段階としては完璧である。


 


自殺者どころか激烈号もが命を落としたあの駐車場へでかけた。


まずホバリングをしてみる。


おお、調整が完璧だと無駄な操作もせずにすむのだ。


 


灼熱号はしずかに空中で停止している。


 


感動である。


 


もう少し高く上げてみよう。


 


スロットルを空けてみた。


 


灼熱号が目線の高さを越えた瞬間、


 


意外や意外、


 


ワケが分からないのだ。


 


 


あ・あ・あ・あ・あ


 


 


そんな言葉が口から漏れる。


 


灼熱号は手綱をとかれた猛獣のごとく暴走しだす。


 


ぬう


舵が利かぬ!


 


 


 


灼熱号はそのまま


 


 


 


山林へ消えた。


 


 


 


こうしてラジコンへの愛情は


 


 


 


完全に冷めた。


 


 


 


翌年、


 


 


 


プラモ屋も消えた。


 


 


 


 


大変不便になった。


 


 


 


 

終    劇

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