【過去ネタ】虎姫熊子

※過去ネタです

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私はブサイクには相当免疫がある。


多少のブサイクなら全く問題としない。


心が美しければブサイクな顔も美しく見えるものである。


しかし、


こんな私でさえ


激しく拒絶反応を起こしたブスがいた。


 


同僚のN。


奴が一度私に女の子紹介すると言うので会いに行った。


 


・某大学在籍


・彼氏なし


・電話番号


・20歳


・ちょっとぽっちゃり


・10時にバス停で待ち合わせ


 


Nのくれた情報はこれだけだった。


写真は見ていない。


 


 


Nの当時の彼女が同じ大学にいてその連れだというので安心していた。


それに一族の長である私にブサイクなど紹介するはずもないと。


約束の時間の10分前に到着は当然の礼儀。


私はバス停前に黒いピカピカのGTOを止めて待っていた。

 


そして時計は10時。


時は満ちた。


 


来ない。


 

 


そして10分後。


 


バックミラーになにか生き物が映っている。


 


その生き物は物凄い勢いで走ってきている。

 


なんかデカイな。

 


いや、確実にでかい。


 


うわ!すっげぇデブやん!


 


 


なんどえアレ!!妖怪かい!!


 

 


そのデブリモンは私の車の助手席の窓を覗き込んだ。


 



こ・・これは・・・


 


もう、生きてるだけで懲役クラスではないか。


 

ゆっくりとパワーウインドウの窓を下げる。

 


「はい・・・」

 


「オガワさんかなー?」


 


後ろに「ユンユン♪」とかつきそうな勢いで喋りかけてくる。


 


「・・・ハハ・・そうかも・・・」


 


「もぉーーどぉっちぃーー??」


 


・・・オガワです・・・


 


「となりぃ~しつれいしまぁ~すぅ」


 


ズン


 


 


車が一瞬傾いた。


 


おそらく90オーバーであろうその巨体。


なんて生き物を俺は車内へ招いてしまったのだ。


 


「聞いてたよりオトコマエダヨネー」


 


「はぁ・ありがとう・・」


 


「どこいくのぉー?」


 


「え、えーと、あのそのアワワワワ」


 


このテンションの高さはなんなのだ。


ほんのりと香る汗の匂い。


鼻の頭に汗を光らせ、ニッチャリと笑うその顔は


「今からオマエを獲って食ってやろう」


と言わんばかりだ。


 


 


今出会っていれば


腹のあたりに自転車のグリップがないか探してしまうであろう、


 


 


特大のお腐れ様である。


  


 


とりあえず私が買いたいものがあったので


近くのデパートへ走る。


駐車場で降ろして店内へ入るが


はっきり言って


 


 


一緒にいるのが恥ずかしい。


  


 


俺が第3者としてこの状況を目の当たりにしたらどう思うだろう。


 

考えると自然と歩調は早くなった。

 


ブスも足早に追いかけてくる。


 


うおぉー近づくなよブスー


 


本気でそう思う。


 


そしてブス、


それでも歩調を緩めない私に飛びつき腕を組むと


 


「ハァー↓ヤァー↑スゥー↑ギィー↑ルゥー↓」


 


と眉毛を八の字型にして下から見上げてきた。

 


 


くっつくな!!


 



周りの人よどうか俺を見ないでくれ!!



どうか俺を笑わないでくれ!!

 


そして今すれ違ったカップルの男よ!


  


「すげえなアレ」


 

 


とか振り返りながら言うな!!


 

 


そしてそのカップルの女よ!


  


「スッゴーイww」


 


振り返って手で口押さえながら言うな!!


 


 


ああ俺は今、死ぬほど恥ずかしい!!

 


私はトイレに行くと伝え、


何とかブスの手を振り解いた。

 


トイレに駆け込み携帯からA顧問に電話する。

 


「悪いんやけど5分後くらいに電話くれへん?」


「どうしたん?」


「Nに強烈なブス紹介されてしまってー。」


「wwwwわかった電話するわ。仕事風の電話でええんやろ?」


「ごめんな。頼むわ。」


 


そしてトイレから出たらブスはラオウのように立っていた。


そして


 


 


また腕を組まれた。


 


 


 


私は顧問の電話までの5分間耐えねばなるまい。


保護者として、どんなブスでも傷つけぬように送り返さねばならぬ。


私はブスにひきずられるように


ぬいぐるみ売り場へと連れて行かれた。


ブスは目をキラキラさせながら


 


「いやーん、これカワイイ~カワイイ~」



ぬいぐるみを抱きしめてこっちを見る。


 

 


買わないぞ。


 

 


ブスは買って欲しかったのか


しばらくカワイイを連呼しながらぬいぐるみを抱きしめていたが


無視して店の外に出ると


やがてあきらめてぬいぐるみをおいて出てきた。


 


「チョーカワイかったよねー」


  


お前と並べれば何だってかわいい。


 


そして待望の電話が鳴った。


 


「もしもし」


「オレオレ。どうよ。生きてるか?」


「はい。」


「あー、仕事入ったから出てきてくれる?がっはっはっは」


「分かりました。すぐ行きます。」


「がっはっはっは、あとで話教えてやwwwガチャ」


  


私はブスに仕事に行かなくてはならなくなったと伝えた。


  


「ええ~今あたしと遊んでるしー。無理って言えばいいじゃんかー」


  


お前といるのが無理なのだ。

 


何とかなだめて駐車場へ戻り、車に乗せる。


そして帰りながらブスはひたすら次回会う日を決めようとしている。

 


いつなら空いてるだの


なんなら部屋にきてもいいよだの


しまいにゃ料理得意だよだの


  


全然興味ありませんから。


 


適当に「うん」とか「はい」とか言っていたら


ブスを乗せたバス停が見えた。


するとブスは


「もうチョイ先に広いところがあるからそこがいい」


と言う。


私は言われたとおりに進むと。なるほど広場である。


車を止めて


「今日はゴメンな」


といった。


一応はそう言った。


しかし


 


ブスは降りようとしない。


 


降りないどころかまだ話を続け出した。


「今日何時ごろに仕事おわんの?」


「わからんわ」


「終わったら電話ほしいかも」


「ああ、するわ」


「ほんとだよ」


「わーったわーった」


「あ、なんかウソっぽいしー」


「いや、するから。ほんま遅れたらあかんから。」


「えー、ウソっぽいよー」


「うそちゃいますがな。ほんまやがな。」


「結構気に入ったよ。」


「は?」


 


「オガワッチ気に入った^^」


 


 

 


 


気に入るな。


 


 


 


「ありがと。じゃあ仕事行くから」


「うん。気をつけてね。事故らないようにね。」


「はい。大丈夫。ゆっくり行きます」


「ああ、心配だな~一緒に行こうかな~」


 


 


 


 


来なくていい。


 


 


 


 


「あかんて。ホンマゴメン、もう行くから。」


「うーん・・わかったぁー」


 


 


ブスが降りたとたんに車の傾きは戻った。


ブスは私が見えなくなるまで見送りやがる。


そして見えなくなった。


これで安心だ。

 


すぐに顧問に電話しようと携帯を取り出す。


番号を押しかけたその時


見覚えのある番号から電話がかかってきた。


 


プルルルルルルル


 


 


がちゃ


 


 


 


「おっす!」


「!」


「今日はあり・・」


プチ。ツーツーツー


 

                劇     終





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