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原型師になりたいとおっしゃる方がいらっしゃいますね。

たまにメールいただいたりしてですね、


自分は原型師を目指しています!とか

熱い熱い胸の滾りを差し出してこられる若い方がいらっしゃいましてね。

僕はプロ原型師じゃあなくて、

自分の好きなもんを勝手に自分の都合で造って

たまにお手伝い的に商業原型をやってるだけの茶坊主なんですよ。


でね、確かに原型師で食っていきたいと思ったことも過去にありまして

結構真剣に考えてたんですけど、結局やめました。

今はもう商業原型師は全く選択肢にないし、

もう今は選択できる年齢ではない。



自分の生業を原型師にするということは

原型を作ってその原型代で食っていくということですよ。

原型師として大手メーカーさんに所属して給与としてお金をもらうのであれば別ですけど

フリーの原型師としてやっていくならば自分の造った数がその収入に反映される。

原型代って大きさにもよって色々だと思いますけど、

1個あたり5万くらいから30万とか50万とか上見たらきりがない。

またお仕事の依頼だってアイツを使おうって思ってくれるメーカーさんがいなくちゃならず

そういうメーカーさんと知り合う運や努力だって必要だし

いくら粘土が上手でもメーカーに嫌われたら土俵にも上がれないんですよ。

そして、商業原型って基本的に

何か既存のキャラクターを造ってくださいって頼まれるわけで

自分が別に造りたくもないものも生活のために造らなくちゃいけないわけです。

まずそこで「いや、俺粘土大好きだから気にならねえっすよ」なら良いですが

アタクシはもうそこで全然ヘラが進みません。

「なにこれオモンネー」

と全く愛が芽生えてこないわけです。

そこに憧れというとても大事な要素がない。

ここができる人は職人だと思います。

そして大事なことが。

それは、版元チェックっていうのがあるんですね。

いわゆるキャラクターの権利を持っている神様が

その原型の画像を見て、

こんなんじゃねえ、

ここが違う、

あそこが違う


全部違う


とか言うてくる。

ここをクリアしないと当然納品にはならない。

納品にならないのでお金も振り込まれない。

版元チェックに出しても1週間くらい返事返ってこない。

これが海外の版元だと1か月とか返ってこないらしいです。

で、言われたとおりに修正して画像を送る。

「違う」いうて返ってくる。

これをやってるとですね、あっという間に3か月とか4か月とか過ぎていくんですね。

3か月で30万円の原型のOKが出るとしたらですよ、

月10万円の収入ってことですよ。

そこから税金や保険代や食費や生活費を捻出しなければならない。

じゃあ3つか4つの原型を同時進行すればいいじゃないかと。

好きでもない興味もない人形をですか。


それをできる人が職人です。


職人は何を出してこられても眉一つ動かさず

そのモデルのとおりにハイスピードで仕上げてチェックに出し、

修正には文句ひとつ言わずに対応し、

すぐに直して提出。

これらを3つ4つ同時進行する。


これが職人です。



今名前の通っている必殺シリーズのような世の中の原型師さんは

これを当然のようにできる神のような方々です。

ちょっと粘土出来るからってなれる職業ではないんですね。


少なくともアタクシは今まで粘土を仕事だと思ってない。

あくまで主たる生業があって、楽しいと思える範囲で粘土している。

プロ原型師を目指す方々は、楽しい作家生活を夢見るのではなく

血の滴るような職人の凍てつく生活の覚悟が要りますけど

まっすぐに粘土が好きだ、俺は粘土が好きなんだと言える方はそのまま進むべきかと。


逆にアタクシみたいな性格の歪んだ、粘土が好きですねん

けど好きな時に好きなもんしか造りませんねん

みたいな先の曲がったまがいもんは絶対になれない職業です。


つまりプロ原型師って

粘土の世界では最も神に近い存在だといえましょう。

だからもっと崇めるべきなのです。






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